妊娠中、私に必要だったのは、新しい身体、つまりもう一人の自分に慣れることでした。 妊婦専用のボディケアに関連するサービスがほとんど存在しないことは、すぐにわかりました。ほとんどの人は妊婦に触れることを恐れているため、治療的な処置を見つけるのは困難です。幸いにも、私の場合、毎日実践しているエクササイズとストレッチのお陰で、身体を快適な状態に保ち、運動能力と柔軟性、体型を維持することができました。
ところが、知り合いの妊婦のほとんどは、筋肉の硬直や関節痛、腰痛、軽度の炎症に悩まされていました。全身のメンテナンスに関する知識の不足とセルフモチベーションの低下が、妊娠中のトラブル増加を招いていたのです。そうした人たちがリラクゼーションと安心感を得られるように、私が実践してきた方法を応用するようになったのは、ごく自然な成り行きでした。
妊娠中はパワーが強くなり、私の身体は驚きと力、慈愛に満ち溢れました。エネルギーと感性が毎日変化するので、特別な注意を払わざるを得ません。そして、自分の内面と向き合うことで、日々成長していく自分の身体に対処する方法を考案し、それを改良していきました。そのお陰で、妊娠期間を通じて健康を維持することができ、痛みに悩まされることもありませんでした。ダンスは妊娠20週目になるまでつづけました。そして、すばらしい自然分娩を経験し、産後3ヵ月半で舞台に復帰しました。
![]() |
|
![]() |
母なる自然の大きな力が、私に代わって、私のために、私と一緒に出産を成し遂げてくれました。その時の私は、まるで何かに取り憑かれていたような感じです。自分のものではない不思議な力が私の身体を支配し、翻弄しました。冷静な判断力を失い、とてもセクシャルな気持ちになりました。あらゆる感覚が私の動物的な自己に服従したのです。軽い硬膜外麻酔の点滴をしていましたが、これまでの人生で最高のインプロビゼーションダンスを演じました。どんな物も、どんな人も私を引き留めることはできません。私は激しく身体を動かし、足を踏みならし、呼吸し、震え、噛みつき、身体を揺さぶり、しゃがみ込み、歩き、話しかけ、キスをし、うなり声をあげ、息を切らし、嘔吐し、微笑み、笑い、愛し……。それを何度も繰り返しました。坂本医師、助産師の皆さん、夫、そして私。その場にいた全員が完璧な調和に包まれていました。その調和があまりに完璧だったので、自分が横向きに寝そべり、片方の足を坂本医師の肩に乗せ、もう片方を大きく広げるように持ち上げていることに私がようやく気づいたのは、娘が生まれたときでした。自分がそんな姿勢をとることなど、想像もしていなかったのです。すべてはとても有機的に起こりました。坂本医師は私を100%信頼し、途中で予想外のことが起きても、私のリズムに合わせてくれました。私が息を大きく吸い込み、呼吸を止め、息を吐き出すと同時に、娘がするりと誕生しました。娘が泣き声をあげて皆に挨拶をしたとき、私は得も言われぬほど大きな喜びを感じました。
分娩は17時間に及びましたが、私はそのすべての瞬間を心から楽しみました。私がこのようなすばらしい出産を経験し、その場にいたすべての人たちと全身全霊で関わり合うことができたのは、私が意識的に一貫して心と身体の準備を継続して行ってきたからだと思います。
私が手を延ばすと、娘は大きな目で私を見つめ返しました。高揚した気分で息を切らしながら、意識と無意識の間で、娘をそっと胸に抱きました。愛しく、完璧な存在。娘は私と自分の心臓の鼓動にじっと耳を傾けていました。





